小編成・初中級の吹奏楽団におすすめ|西邑由記子《Ancient Flower》
- 2025年1月3日
- 読了時間: 6分
更新日:3 日前
小編成バンドの選曲に悩んだら
小編成の吹奏楽団や、発展途上の若いバンドに合う曲を探すのは意外と難しいものです。
難しすぎる作品では音楽づくりまで届かず、反対にやさしすぎる曲ではアンサンブルの成長につながりにくい。
その中間にある、演奏しやすさと音楽的な深さを両立した作品は、レパートリー選びで大きな助けになります。
今回紹介する西邑由記子《Ancient Flower》は、WASBE(世界吹奏楽協会)の教育プログラムでも取り上げられた、グレード2の吹奏楽作品です。
小編成でも演奏でき、若い吹奏楽団が音色、フレーズ、ルバート、アンサンブルを学ぶのに適した作品です。

WASBE推薦曲として紹介された《Ancient Flower》
WASBE世界吹奏楽協会
WASBE(World Accociation for Symphonic Bands and Ensembles)、世界吹奏楽協会は、1981年にイギリス・マンチェスターで創設された、吹奏楽のための国際組織です。
2年に一回の世界吹奏楽大会が開催され、1995年には日本の浜松で開かれました。2024年は韓国で開催され、次の2026年にはブラジルの予定とのこと。
本協会の記事にて吹奏楽のおすすめ曲を紹介しているシリーズがあり、その中で取り上げられていたのが、以前私が数曲クラリネットで取り上げた(ブログ)作曲家西邑由記子氏の作品でした。
このシリーズは、成長過程にある吹奏楽団へ世界中の優れた作品を紹介するWASBEの新しい教育プログラムで、各選曲は、リハーサルを通じて演奏者の成長を促す多様な音楽的要素を含んでおり、芸術的価値の高い音楽を紹介することを目的としているとのこと。毎回世界中のWASBEメンバーが選ぶ4~5作品を紹介しています。
2024年11月に発表されたこの記事は、ラトガース大学メイソン・グロス芸術学部の助教授兼バンド副指揮者、およびニューブランズウィック室内管弦楽団の芸術監督兼指揮者であるジュリア・バウマニス博士によって選曲されています。
グレード別に5つの作品が紹介されている中に今回の西邑由記子氏の”Ancient Flower”
が取り上げられています。
《Ancient Flower》とは
Ancient Flower (エンシェント・フラワー)は西邑由記子作曲で2015年に発表され、グレード2の難易度です。元々は弦楽合奏用に作曲されたものを作曲家によって吹奏楽にアレンジされたもの。18人からと小編成で演奏でき、難易度も高くはないです。 シンプルなメロディーが懐かしさをくすぐられます。幾重にも重なった花びらが内側から開いていくようで神秘的な響きがあります。
演奏の考慮点として挙げられているのは、初級レベルの演奏者でも対応できるよう、各楽器の快適な音域を考慮しながらも、その可能性を最大限に引き出すように作曲されているということです。繊細なメロディーにルバートが加わることでアンサンブル力が養われるなど、様々な工夫が施されています。若い吹奏楽団でも取り組みやすい作品であり、これらの要素に取り組むことで、より高度なアンサンブルへと成長していける作品だと考えられます。
公式ウェブサイト - https://www.carlfischer.com/yukiko-nishimura
なぜ若い吹奏楽団に向いているのか
《Ancient Flower》は、難易度としてはグレード2に分類される作品ですが、単に「やさしい曲」というだけではありません。
各楽器の音域が無理なく書かれており、初中級の奏者でも取り組みやすい一方で、音色、フレーズ、バランス、アンサンブルの呼吸を丁寧に学べる作品です。
小編成でも演奏できるため、人数が限られている学校バンドや地域の吹奏楽団にも取り入れやすい点も魅力です。
特に、以下のような団体に向いています。
- 小編成で演奏できる作品を探している吹奏楽団
- 初中級の奏者が多いバンド
- 音量や派手さより、音色とアンサンブルを育てたい団体
- コンクール以外の演奏会レパートリーを探している団体
- 若い奏者に美しいフレーズを経験させたい指導者
練習で育てられる力
《Ancient Flower》では、速い技巧よりも、音の重なりやフレーズの自然な流れが大切になります。
演奏者は、自分のパートだけでなく、周囲の音を聴きながら音色やバランスを整える必要があります。
そのため、若い吹奏楽団にとって、アンサンブルの基礎を学ぶ良い教材になります。
この作品を通して育てられる力には、次のようなものがあります。
- 周囲の音を聴きながら演奏する力
- 柔らかい音色を作る力
- 長いフレーズを息でつなげる力
- ルバートの中で一緒に動く感覚
- メロディと伴奏のバランスを感じる力
- 小さな音量でも音楽を保つ集中力
派手な作品ではありませんが、丁寧に取り組むほど、バンド全体の音楽性が育つ作品です。
指導者がリハーサルで意識したいポイント
この作品をリハーサルする際は、まず全体の音量よりも、音色とフレーズの方向をそろえることが大切です。
グレード2の作品であっても、音を並べるだけでは音楽の魅力が十分に伝わりません。
メロディがどのパートに移っているのか、伴奏がどのように支えているのか、和声がどこで変化するのかを確認しながら進めると、アンサンブルが立体的になります。
リハーサルでは、次の点を意識するとよいでしょう。
- メロディを担当するパートを全員で確認する
- 伴奏が強くなりすぎないようにする
- フレーズの山を共有する
- ルバートの動きを指揮者だけでなく奏者同士も感じる
- 小さな音でも息の流れを止めない
- 曲のイメージを言葉で共有する
特に若い奏者には、「正しい音を吹く」だけでなく、「どんな響きを作りたいか」を考える経験になります。
クラリネット奏者として注目したいところ
クラリネット奏者にとっても、《Ancient Flower》のような作品は良い学びになります。
速い指回しや大きな音量で目立つ曲ではなく、柔らかい音色、なめらかなレガート、周囲とのブレンドが求められるからです。
特に中低音域では、音が重くならないように息の流れを保ち、他の木管楽器や金管の柔らかい響きと自然に混ざることが大切です。
また、メロディを担当する場面では、音の始まりと終わりを丁寧に扱い、フレーズの方向を明確にしたいところです。
クラリネットパートだけで練習する場合も、常に「自分が今メロディなのか、内声なのか、支えなのか」を確認すると、アンサンブルの中での役割が見えやすくなります。
クラリネットのために曲を書いてくださっています
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山口県柳井市近郊での対面レッスン、遠方の方へのオンラインレッスンに対応しています。
《Ancient Flower》のような作品を通して、柔らかい音色、レガート、周囲と響きを合わせる力を育てたい方もご相談ください。
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