クラリネット アタック改善|タンギング練習のコツ
- Izumi Fujiyama

- 14 時間前
- 読了時間: 7分
山口県柳井市のクラリネット教室、フジヤマクラリネットスタジオです。
今回は、大人の生徒さんとの11月レッスンの様子から、ボッケリーニ《メヌエット》と西邑由記子《Smiley Moon》を題材に、クラリネット上達のヒントをブログでまとめます。ABRSMグレード3を目指している方や、大人からクラリネットを再スタートした方の参考になれば幸いです。
クラリネット基礎:ボッケリーニ《メヌエット》で学ぶタンギングの基本
ボッケリーニは古典派時代のイタリアの作曲家。このメヌエットは、「古典的なメヌエットのお手本」のような一曲です。
2拍子の拍子記号
規則的な4小節フレーズ
堂々として品のある曲想
こうしたポイントを押さえながら、クラリネットで気品のある歌い方を目指します。
アウフタクトとフレーズ感
冒頭はアウフタクト(弱起)から始まります。ここで意識したいのは、
アウフタクトは"助走"であり、
次の小節1拍目に向かってエネルギーが流れていくこと
楽譜上のスラーや強弱記号をよく観察し、「どこからどこまでが1つの言葉なのか」を感じながら吹いてみましょう。
装飾音の扱い方
装飾音は、料理でいうとスパイスのような存在です。入れ方を間違えると、せっかくの曲の味わいがぼやけてしまいます。
レッスンでは、次の点を特に丁寧に確認しました。
装飾音とメインの音の役割をはっきり分ける
リズムを崩さずに、きちんと拍にはめる
16分音符は「速く」ではなく「正確に」
装飾音はダウンビート直前に入れ、メインの音を遅らせない
メトロノームを使って、装飾音を入れないパターン → 入れたパターン、と段階を踏んで練習するのがおすすめです。
クラリネット タンギング精度チェック:同音反復練習法
この曲には、同じ音が続くフレーズも多く登場します。スタッカートの有無にかかわらず、同音反復=タンギングの精度チェックのチャンスです。
「ティ、ティ、ティ」と1つずつ丁寧に発音できているか
息の流れが途中で途切れていないか
速くしようとする前に、ゆっくり・均一な長さでそろえられているか
自分で録音して聴き返すと、タンギングのばらつきがよく分かると思います。大人の方は特に、「自分ではできているつもり」とのギャップを客観的に確認する習慣をつけると、上達スピードが一気に変わります。*練習改善ラボで練習が確実に変わります
日本語話者のクラリネット発音クセ:アタック改善のポイント
日本語は、子音を強く立てず、母音がはっきり聞こえる言語です。そのため、日本語話者の方はクラリネットでも、
アタックをぼかしてしまう
「タ」よりも「あ」に近い発音になる
という傾向があります。
クラリネットでは、子音=タンギング、母音=息の流れと考えると分かりやすいです。
息(母音)は止めずに流し続ける
舌(子音)だけを軽く当てて音の輪郭を作る
ソフトなアタック〜強いアタックまで、幅を持って使い分ける
レッスンでは、言葉を実際に声に出してから吹いてみるなど、クラリネットタンギングに取り組み、言語感覚と音の出し方をつなげる練習も取り入れます。
西邑由記子《Smiley Moon》で広がるイメージ表現
Smiley Moon は、アメリカ在住の作曲家・西邑由記子さんが、バンドメソッド「Sound Innovations」シリーズのクラリネットソロ曲として書き下ろした作品です。
ダウンロード購入しやすい楽譜
クラリネットパート譜、ピアノ伴奏譜
練習エクササイズ付き
と、大人の学び直しにもぴったりな構成になっています。
フジヤマクラリネットスタジオでは、オンライン企画**「Smiley Moon チャレンジ」**として、レッスン内外で取り組めるようにしています。ご自宅からの録画提出も歓迎です。
情景を言葉で描くレッスン
この曲で特に大切にしているのが、**「どんな月なのかを自分なりに言葉で説明できるようにすること」**です。レッスンでは、次のような質問をしながら、一緒にイメージを膨らませます。
季節はいつ頃?
場所は、湖、森、それとも…?
風は吹いている?しんと静まり返っている?
どんな匂いがする?土の匂い、夜の冷たい空気の匂い…
色・匂い・温度・静けさ・風の動きなど、五感をフルに使って言語化してもらいます。こうしたディテールを言葉にしてから吹くと、同じ音符でも音楽の深みがまったく変わってきます。
楽譜から読み取れるストーリー
感性だけでなく、楽譜そのものから読み取れる情報もとても重要です。
ピアノイントロの四分音符の流れ
音の跳躍は比較的狭く、ささやかな動きが続く
やがて高い音で静止し、上の方にある月を見上げているようなラインになる
こうした要素から、
「静かな夜、少しずつ月が視界に入ってきて、ふと見上げたときに、そこに微笑むような月が浮かんでいる」
という情景をイメージしながら吹いていきます。
ピアノのイントロでもその情景のセッティングがどうなっているかを考えます。
大人のクラリネット学習におすすめしたいポイント
11月のレッスンを通して、あらためて大人の方におすすめしたいと感じたのは次の3つです。
録音して、自分の演奏を「聴く習慣」を取り入れること
タンギング、音色、フレーズの流れなど、自分の耳で客観的にチェックする習慣は、レベルを問わず有効です。
言葉で説明してから吹くこと
「どういう月?」「どんな雰囲気?」と一度口に出してみるだけで、音に込められる情報量が増えます。
楽譜から情報を読み解くこと
記号や音の並びを「ただ吹く」のではなく、「なぜこう書かれているのか?」と一歩踏み込んで考えることで、譜読みそのものが楽しくなります。
おわりに
ボッケリーニ《メヌエット》も西邑由記子《Smiley Moon》も、難度としては「手が届きそう」な位置にありながら、表現の工夫次第でいくらでも深く味わえる曲です。
フジヤマクラリネットスタジオでは、大人の方がそれぞれのペースで、こうしたレパートリーを楽しみながら上達できるレッスンを心がけています。
レッスン・オンラインチャレンジのご案内
フジヤマクラリネットスタジオのレッスンについて(教室案内)
山口県柳井市近郊での対面レッスン、オンラインレッスンのどちらにも対応しています。
大人からのはじめて/再開レッスン
音大や留学を視野に入れた専門レッスン
グレード、オーディション対策(パフォーマンスグレード含む)
趣味でじっくり楽しみたい方向けのコース
体験レッスンやレッスンについて詳しく知りたい方は、教室案内ページまたはお問い合わせフォームからご連絡ください。
オンライン「Smiley Moon チャレンジ」
《Smiley Moon》を使って、オンラインで一緒に音作りと表現を深めていくチャレンジです。
ご自宅からの録画提出OK
レッスン内でのフィードバック、コメント付き返信
仕上がった動画をもとに、今後の練習ポイントも提案
「まず1曲、完成させてみたい」「録画にチャレンジしてみたい」という大人の方におすすめです。詳細や募集状況は、スタジオのご案内ページからご確認ください。
ABRSMチャレンジ(グレード試験に挑戦したい方へ)
ABRSMパフォーマンスグレードを中心に、「一人では難しい計画〜録画提出まで」を一緒に進めていくクラスです。
課題曲選びと、無理のないスケジュールづくり
Tomplayを活用した自宅練習の進め方
録画本番に向けた、練習計画とメンタル面のサポート
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