クラリネット演奏以前に整える:呼吸・アンブシュア・姿勢・手指
- Izumi Fujiyama

- 9月30日
- 読了時間: 4分
クラリネット演奏以前に整える

クラリネットを「楽に」「豊かに」演奏するための土台は、演奏体力と効率的な身体の使い方です。この記事では、呼吸、アンブシュア、姿勢、手指という4つの鍵を整理し、今日から見直せるチェックポイントをまとめます。
なぜ「演奏体力」と「効率的な使い方」が必要か
エチュードでも曲でも一曲通して演奏しきれる体力はありますか?
仕事や家庭で練習時間が限られると、演奏にかかる負荷は想像以上に高くなります。音大生やプロの演奏家でさえ、長時間の演奏によって身体の故障を抱える方が多いのも事実です。(ここでは、練習時間が不定期で、これまで身体のコンディションを整えることになかなか目を向けられなかった愛好家の方向けのアプローチと考えています。)
短距離走者の瞬発力やバレリーナの回転を支える軸足の筋肉は、鍛え上げられた身体能力があってこそ、自由で軽やかな動きが可能になります。音楽も同様です。「疲れにくい動き」と「必要十分な体力」が表現の自由度を高めます。ここでいう体力とは筋力の大きさではなく、無駄なく息と身体を使える能力のことを指します。
ポイントは「楽器を鳴らす」ことより、まず「自分の身体を整える」こと。「演奏できるコンディションにある状態か」という発想への切り替えが重要です。
1. 呼吸:息の通り道を整える
症状のサイン
フレーズ途中で息が足りない
強弱の幅が出ない、音色が浅い
呼吸時に音が出る
即チェック(セットアップ)
マウスピース×リードの相性を見直し、息が楽に入る組み合わせにする
遠くのロウソクの火をピンポイントで消すことのできるような、細くて素早い息を作ることができるか
使い方のコツ
意識的に呼吸(口呼吸)することを普段から意識する (日常の呼吸とは違うこと意識)
吐き切る事。そこから自然に空気が入ってくる感覚を覚える
肩や胸がリラックスできているか、息を十分に取り入れることを意識
2. アンブシュア:沢山の筋肉によって支えられている
よくある問題
口横より空気が漏れる
鼻から息が漏れる(軟口蓋)
チェック
マウスピース×リードの相性を見直し、息が楽に入る組み合わせにする
表情筋を意識しながら、口周りの表情が豊かであるか
コツ
「閉める」ではなく「支える」。唇のテンションは必要最小限
日常的により咀嚼(そしゃく)することを心がける
口周りの筋肉を動かし鍛える
3. 姿勢(バランス):重心と軸
クラリネットを前に構えることで首や重心が前に出ている:立奏・座奏ともに「頭の位置」を先に整える ー 身体の重心が整ってから、楽器を構える
猫背:肩を下げるより、鎖骨の向きを前へ開いて腕の重さを逃がす
首が前に出る:楽器の角度を固定化しすぎず、息のラインに合わせて微調整
4. 手指:脱力と独立
右親指の支点を安定させ、他の指の自由度を確保:指元に近すぎる位置で支えると、残りの指の稼働を妨げ、手首、肘全てに負担増
サムレストの位置
連絡点(トーンホール・キー)に必要以上の圧をかけない
口、右手、左手とバランスよく支える
よくある悩みへの対処
途中で息が切れる
一息で可能な適度な長さのフレーズを選択。徐々にテンポを落としながら、可動域を広げる。
口横から息が漏れる
まずはマウスピースとリードを見直す。口周りの筋力をつける、咀嚼して顎を鍛えてみる。息漏れが出てきたら、すぐに休憩する。
指がもつれる
運指より支点(親指・手首)や指の形状を先に整える。短いセクションに区切って少しずつ練習
最後に
フジヤマクラリネットスタジオでは、レッスン生の方々がこれらの問題を克服できるよう日頃から取り組んでいます。実際、この基礎部分の調整にかなりの時間を割いているため、最初は進歩がなかなか見られないと感じるかもしれません。特に、学生時代に始めてブランクを経て久しぶりに楽器を手に取った方々には、より良い姿勢を意識することや癖を取り除くのに丁寧に時間をかけています。定期的にレッスンに通うことで、着実に改善されていきます。
レッスンに通うことができない方には、オンラインレッスンやオンラインサロンなどで一緒に取り組むことも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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