クラリネットメーカー比較|クランポン・ヤマハ・セルマーの違いを修理・調整の視点から解説
- 3月31日
- 読了時間: 6分
クラリネット メーカー選びは、演奏の質を大きく左右する重要な決断です。本記事では、クランポン・ヤマハ・セルマーの3大メーカーを、修理・調整の実践経験から比較します。クラリネット初心者から上級者まで、メーカー選びの参考になる情報をお届けします。
いつも楽器調整をお願いしている広島の遠藤楽器店に、今回は生徒さんからお預かりしたクラリネットを数本まとめて預けていました。ちょうどクランポンとヤマハを並行して見られる状況になり、比較の手がかりが増えました。私は現在セルマーを使用しているので、その視点も交えながら整理します。
クラリネット メーカー選びが重要な理由
ここに書くことは「メーカー=必ずこう」という断定ではありません。
個体差
リード/マウスピース/リガチャー
奏者の息・アンブシュア
そして何より調整状態(密閉、バランス、摩耗)
この条件で、同じメーカーでも印象は大きく変わります。その上で「調整で輪郭が出やすかった特徴」をメモとして残します。
クラリネット修理・調整から見えてきたメーカーごとの特徴
1) クランポン:音色の魅力とメカニズムの特徴
今回いちばん印象に残ったのは、E/B、F#/C#(左手小指まわり)のキーの重さでした。最初は「バネの劣化・年数・個体差かな」と思ったのですが、触っていると構造的な要因もありそうで、キーが作動してパッドが閉まる過程に、じわっとスポンジのような抵抗感(不快さ)が残ります。
この重さがあると、必然的に左手小指を駆使する場面が増えます。結果として、
小指を真っ直ぐにしてキーを押さえにいく動作
小指のテンションで「押し込み」を作ってしまう癖
が出やすいのかもしれない、と感じました(こういう押さえ方をよく見かける理由が少し腑に落ちました)。
もうひとつ気になったのは、スロートトーン周辺(A、G#)のキーの開きが大きいことです。これはスロートトーン特有のこもりを減らす目的で開きが設計されているのかもしれませんが、体感としてはシャープに寄りやすい側面もあります。私自身、クランポンを使っていた頃に、音程調整のため黒いビニールテープを小さく切ってAキーの下に重ね貼りしていたのを思い出しました。今回も、必要に応じて少し調整していただきました。
※ここに書くことは「クランポンはこう」と断定する意図ではなく、調整・比較の中で輪郭が出たポイントの記録です。
2) ヤマハ:初心者から上級者向けの安定性と調整性
ヤマハは、音域のつながりや反応の均一さが特徴で、
レスポンスもよく
どの音域も同じ感触で吹きやすい
という強みが見えました。
その一方で、今回気になったのはキーの配置です。左手小指のC#/G#キーが、よりカーブが強く本体に沿う形になっていて、手の形によっては「もう少し突き出ていてくれたら自然に届くのに」と感じるかもしれません。
均一で扱いやすいからこそ、こうした“手指との相性”が、長時間の演奏・細かい小指運指の安定度に影響してくる印象がありました。
3) セルマー:上級者からプロ向けの音色表現力
セルマーは、個人的には「芯を作る」「音を前に運ぶ」方向の設計が噛み合いやすく、
音の中心が作りやすい
ダイナミクスを振っても輪郭が残りやすい
と感じることが多いです。
ただ、息の流し方が乱れると、硬さ(または押し付け感)が出やすいこともあるので、「息の通り道の設計」とセットで考える必要があると感じています。
調整が整うと「選びやすい」—原因の切り分けができる
今回いちばん大きかったのはここです。
「どれを吹いても何かが引っかかる」時、原因がセッティング以前に、
タンポの密閉
キィのバランス
摩耗やガタ
にあることは珍しくありません。
調整が整うと、メーカーの違いも、セッティングの違いも、やっと比較できる土台ができます。
マウスピース・リガチャー選びの重要性
昨日は広島ヤマハで、マウスピースとリガチャーも少し選定してきました。
マウスピースは現在レッスン生の方々にお勧めしているのが、ヴァンドレンのBD4
リガチャーはヴァンドーレンのM/OとEddie Danielsのカーボンファイバーとゴールドの2モデル試奏。
何より大事なのは、今の自分のセットアップをしっかり吹いてから試すこと
そして自分のコンディション(疲労・練習不足)を整えておくこと
リガチャーは沼りやすいので「解消したい項目」を決めて絞るのがおすすめ
動画(ほんの一部)
ここに、昨日撮った短い動画を貼っておきます。
フジヤマクラリネットスタジオのご案内(イベント告知)
山口県柳井市クラリネット教室として、クラリネットのプライベートレッスン/オンラインレッスンを行っています。吹奏楽出身の方、社会人の再開組の方、音大受験やコンクールを目指す方まで、目的に合わせて「いまの課題がはっきりし、次の一手が決まる」レッスンを大切にしています。
スタジオで重視しているのは、音色・音程・タンギング・指の動きといった“技術”を、呼吸や身体の使い方(息の流れ、支え、脱力)とセットで整えること。練習が“頑張り”だけにならないように、再現性のある練習設計まで一緒に組み立てます。
4/11 公開レッスン(見学OK)
4月11日に公開レッスンを行います。実際のレッスンの進め方、音の変化のプロセス、練習の組み立て方を「見学」という形で体感できる機会です。
レッスンの雰囲気を見てから受講を検討したい
伸び悩みが長く、どこを直せば変わるか知りたい
基礎をやり直して、音色と安定感を整えたい
という方におすすめです。
デムニッツ・エチュード大会(5月末締め切り)
デムニッツのエチュードに取り組む方向けの企画(大会)を開催します。オンラインにて動画提出。締め切りは5月末。目標があると練習は変わります。
そもそもクラリネットの基本奏法を見直したい
音楽性を深めたい
ステップアップしたい
そんな方は、ぜひ一度この機会を使ってみてください。
7/25 クラリネットDay(クラリネットアンサンブル中心)
7月25日に「クラリネットDay」を開催します。クラリネットアンサンブルを中心に取り組む半日イベントです。
今回のメイン課題曲は、グランドマンの「カプリス(Caprice)」を予定しています。アンサンブルの中で
音の芯と響きの作り方
音程とハーモニーの合わせ方
リズムの揃え方/フレーズの方向性
聴く力(バランス・ブレンド)
を具体的に深めていきます。
「アンサンブルを通して、個人の奏法もステップアップしたい」方におすすめです。

