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執筆者の写真Izumi Fujiyama

2023年の目標:演奏とコミュニティ作りとアウトリーチ〜クラリネット教室の取り組み

更新日:9月8日


オンライン

2022年はクラリネット教室だけではなく柳井の音楽芸術文化についてできることを模索してきた一年でありました。

当時3歳の娘を連れて上海から柳井に移ってきた7年前。それまでの大都市の忙しさ、大気汚染等など辟易していた時に、恵まれた自然や安全な環境で子供を育てられることに喜びを感じていました。しかし、子供が成長するにおいて重要な、情操教育、芸術鑑賞などにおいては機会や人材、情報が圧倒的に大都市に劣り、広く見識を広げるためにできることは限られていることを実感しました。自分の専門分野でできることはないか、同じように思う人はいないのかと情報収集をしたのでした。

これまでの海外経験、音楽経験の集大成として、移ってきて間もない頃に、「子供達のユースオーケストラを作りたい」「家庭環境や経済状況に左右されずに、子供達が楽器を習得することができる環境づくりをしたい」と意気込みを語ってみたところ、アイディアは素晴らしいが、ここでは難しいでしょうと厳しい言葉を一人だけでなく、多くの方からいただきました。当時は賛同を得ることできず一人頭を抱えていたものですが、この一年様々な活動を通して学べた経験から、様々な壁があることが見えてきました。

音楽環境活性化という名前を掲げて、地域に問題提起と協力を仰ぎました。考えを共にできる同士の繋がりもありました。親しみやすいレパートリーを演奏する場所を設けて、活動の趣旨を広めることをしました。しかし何かがクリックしません。

大きな仕組みを変えていくことは難しいけれど、そんな中、目の前で、私に今できることに挑戦してみることにしました。コロナ禍にあって、特にITの発展は目まぐるしいものでありました。リモートワークが推奨され、今ではオンラインレッスン、会議は当たり前になってきました。家から出なくても、大都市で行われるセミナーにも参加できるのです。私もオンラインレッスンや会議、ライブ配信など積極的に取り入れ、活用してきました。以前だったら、海外へ行かなければ、教えを受けることができなかったり、交流すら困難であったのが、地方都市にありながら、海外を体験し、繋がることができる、これは、大きなチャンスと捉えるべきではないかと思うのです。

10月末に、主人が芸術学科で教鞭を執るニューヨーク大学上海校において日本語を学ぶ学生や関係スタッフが集まり、毎月開催される"Japanese Conversation Night" にて、柳井からオンラインで演奏を披露する企画をしました。

当学校は世界各地に分校があり、アジアやヨーロッパなど世界中から学生が集まっています。中国ですが、学校の授業はすべて英語です。そんな中、日本語人気も健在のようで、当日も多くの参加がありました。通常は月一回集まり、日本語で団欒するというもので、これまで、直接日本と繋いで交流することはなかったと言います。同校日本語講師をされている源先生の紹介のもと、生徒が日本語で私たちのことを丁寧な日本語で紹介してくれました。我々は柳井のスタジオから、金魚ちょうちんなど、柳井の紹介をし、演奏する曲「ふるさと」と「シャボン玉」について説明をしました。日本の大都市についてはよく知っているけれど、地方のこともとても知りたがっている様子が伺えました。

また、12月2日には、柳井と同校を再びオンラインで繋ぎ、今回はピアノマスタークラスを行いました。柳井からは、藤井美沙季先生。桐朋を出られて、柳井で精力的に活動しており、自身の演奏のみならず、指導にも力を入れておられます。上海からは、チェン・メイリン先生。厦門出身でニューヨーク大学で学ばれ、現在上海校で指導しておられます。二人とも顔合わせは初。互いの生徒たちが演奏し、それぞれに指導してくださいました。英語と日本語でのやりとりですので、私が通訳で繋ぎました。

 通訳者としては、言葉を選びながらもシンプルに伝わるように心がけました。 オンラインのため実際に繊細な部分を聴き取ったり、細かな手の動きなど分からない部分もあったり、マイクや画面越しに受け答えをする際に、心がけてはっきりと受け答えをすることが必要であることを実感しました。積極的に進んで発言する力の重要性も感じ取ってもらえたのではないでしょうか。また、通信の関係で音響の悪い場面もありました。改善できる部分は山積みですが、互いのベストは尽くしました。

このイベントができたことはとても意義があったと思います。人口3万の柳井から発信できたこと、生徒達に、日本に居ながらでもこのような経験が可能であることを体験させてあげることができたこと、そして柳井の魅力を海外に伝えることができました。

ピアノのマスタークラスだったので互いの意見を交換する時間が取れなかったことが次回への課題。 上海側は、多くがロックダウンを経験して、学生はキャンパス内の学生寮にほとんど閉じこもった状態であるため、外の世界にとても興味を示しており、もっと日本語で発信している様子を見たかったようです。日本のアニメを通して日本語や日本に興味がある学生が多いこと、日本の有名な大都市はすでに知っているが、地方の自然や環境を体験してみたいと、とても興味があることがわかりました。時差の関係もあり、欧米とつなぐには、日本時間早くか遅い時間に開催するなど調整が必要ですが、アジア圏であれば定期的な交流が可能となります。今後 このような交流をしてみたい、柳井や日本のことを紹介してみたいという学生がいたらぜひ連絡ください。すぐに実現できると思いますので音楽に関わらず、計画してみたいと思っています。

アメリカボストンでの取り組み


先日12月19日、アメリカボストンのニューイングランド音楽院がボストン市と協力し確保した1450万ドルの助成金で早期子供音楽教育を拡張するというニュースがありました。NEC and City of Boston Partner to Enhance Music Education for Boston Children (←リンク)https://necmusic.edu/news/nec-and-city-boston-partner-enhance-music-education-boston-children 

ボストンは私も数年過ごした場所で、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学を初め、ニューイングランド音楽院、ボストン音楽院など、多くの大学施設があり、学者や音楽の専門家も多く、早期子供音楽教育の研究もなされており、子供達へのプログラムもとても豊富です。この助成金によって将来音楽家を目指す子供達のみでならず、低所得家族など機会がなかった子供達にも無償で音楽教育や楽器習得プログラムに参加できることになるようです。子供達への音楽教育は社会的や感情面の成長にとても有益であり、特に認識能力、リズム認知、協調性、運動技能が育まれるという基本をしっかりと捉えて力を入れている。これを市がサポートしているというのはなんと素晴らしいことでしょうか。


2023年は?:目標〜クラリネット教室としてさらに

地道な作業は続きます。

自身への挑戦としては、昨年は聴き馴染みのある曲やポップスなどを中心にやってみましたが、ソロ曲やクラリネット曲のレパートリーを披露できるようにブラッシュアップすること。室内楽も仲間がいればどんどん挑戦して行きたいです。

そして、目標はクラリネットのコミュニティ、他楽器を含むアンサンブルのコミュニティを広げ、楽しく演奏できるようなイベントを企画していきます。また、子供達が楽器に興味を持ち、音楽を作る喜びが体験できるような企画、学生達が楽器演奏を通して、生活を豊かに、喜びに満ちたものに導く手伝いをします。

また、企業や教育関係に理解、協力いただけるようなプレゼンを準備していきたいと思っております。

心折れそうなことも多いですが、音楽が溢れている環境をイメージしながら、あらゆる方面からアプローチして参りたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。



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