ステップアップ・クラリネット vol.1:エチュードに取り組む(Lazarus編)
(2024年1月にNOTEに投稿したものを再構築しています)
日本全国のクラリネット人口は、吹奏楽などの部活動もあり、相当数に上ると思われます。しかし、その中で個人レッスンを受けている、あるいは受けたことがある人の割合はどのくらいなのでしょうか?
レッスンを受けたことがない方へ
このシリーズは、特に現在クラリネットを演奏しているが専門的な指導を受けたことがない方や、自己流で伸び悩んでいる方を対象としています。皆さんにぜひ近くの講師を見つけて技術を磨いていただきたいという思いで進めていきます。
「ステップアップ」するには、技術面だけでなく音楽面もしっかり養うことが大切です。
クラリネットには、もっともっと可能性があると信じています。その潜在能力を引き出すには、しっかりとした基礎を築くことをお勧めします。
80 Graded Studies for Clarinet
今回使用する教材は「80 Graded Studies for Clarinet」です。
John DavisとPaul Harrisが監修したこのBook 1&Book 2は、クラリネットの歴史に沿って様々な教本やエチュードから厳選された曲集で、19〜20世紀のスタイルを学ぶのに最適な選曲となっています。
Book 1は初級〜中級向けの50作品、Book 2は中級〜上級向けの30作品で構成されています。
本書に収められている作品の作曲者達
収められている作品は、以下のメソッド本から抜粋されています。音楽大学の学生であれば、馴染みのある名前もあるでしょう。これらの作品の精選集という点で、取り組みやすい教材と言えるのではないでしょうか。
Carl Baermann (1811-1885)
Frederic Berr (1794-1838)
Friedrich Demnitz(1845-1890)
Hyacinthe Klose (1808-1880)
Henry Lazarus (1815-1895)
Jean Xavier Lefevre (1763-1829)
Iwan Muller (1786-1854)
Cyrille Rose (1830-1903)
Robert Stark (1847-1922)
Amand Vanderhagen(1753-1822)
Ludwig Wiedemann (1856-1918)
No.15 Allegretto by Lazarus
参考演奏と私なりのポイント解説をしていきたいと思います。
Henry Lazarus (1815-1895)
(日本語でラザローと呼ばれることもありますが、ここでは英語読みのラザルスと記します。)ロンドン生まれのラザルスは、この時代を代表する卓越した技術を持つクラリネット奏者でした。オーケストラで活躍し、ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックの教授を務め、重要なメソッド本を残しています。
ラザルスが活躍したのは、クラリネットがアルバート式からベーム式へと移行する時代でした。華やかで目覚ましい発展を遂げた時期であり、多くの名演奏家(ヴィルトゥオーゾ)が活躍しました。
このような時代背景とクラリネットエチュードの歴史を念頭に置きながら、現代の私たちもラザルスの作品から学ぶことができるでしょう。
No.15 Allegretto
4小節または8小節のフレーズで構成されています。
各小節の3拍子のリズムを感じつつ、大きな流れで演奏しましょう。
音が上昇するときは、波に乗るように息を送り込みます。
フレーズの終わりは丁寧に扱いましょう。
スタッカートがある箇所は、曲調に合わせて短すぎないように。全体のメロディーに沿って、dolce(柔らかく)であることを意識しましょう。
最後の段のE♭(ミのフラット)を演奏する際、その前のC(ド)は通常の右小指ではなく、左小指で押さえる必要があります。この運指に注意しましょう。
少しでもお役に立てれば幸いです。ぜひ取り組んでみて、録音したものを聴かせてください!
クラリネットエチュードに挑戦!
レッスンにご興味をお持ちの方は、体験レッスンをお勧めします。
オンラインでカウンセリングも行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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